京都市は2007年に新景観政策を導入し、都心部を中心に高さ規制を行いました。この厳しい規制により、住宅の供給量が減少し、地価が高騰しました。その結果、住宅地と商業地の地価が上昇し、市の固定資産税収入が増加しました。
その後、京都市は全国的に問題となっている空き家に対して「別荘・空き家税」を新たに創設しました。日本で最も早く空き家に対する税制を整備した都市として評価されています。この税制の導入により、空き家の流通促進を目指しています。京都市では既に町家の保全条例が存在し、所有者と事業者をつなぐマッチング制度が導入されていますが、それでも空き家が発生していることから、空き家の活用を促進するために税を課すこととしました。
ただし、税の創設によって空き家の流通は直ちには起こらないと予想されています。しかし、多くの市民が空き家問題に対して関心を持つことで、空き家の活用に対する意識が高まる効果が期待されています。空き家問題は誰しもが関わりを持つ問題であり、相続などによって誰もが影響を受ける可能性があるため、事前に対策を考えておくことが重要とされています。
京都市は歴史都市として知られており、市中心部の物件は世界中の人が投資物件として購入しています。そのため、市民が思っている以上に空き家が持つ潜在的価値は高く、リノベーションを行い、高く売ることも可能だとされています。
さらに、京都市は路地内の住宅の再生に向けて建て替えや大規模改修が可能であることを示す「路地カルテ」も活用すべきとされています。所有者が路地カルテを持っていれば、改修を行って物件の価値を高めることができ、借り手にとっても金融機関のローンを組む際にメリットとなります。既存建物の流通活用は、若い人の住まいの確保だけでなく、建物や町並みの保存にも重要だとの指摘があり、これらの価値観を広めていく必要があるとされています。