平安神宮(京都市左京区)にいながら、時空を超え、洛中洛外いろんな寺社巡りができる。今年の「京都薪能(たきぎのう)」(平安神宮で6月1、2日)は、清水寺や仁和寺、貴船神社など京の寺社を物語の舞台にした能・狂言8演目をそろえた。かがり火に照らされた平安神宮の野外舞台からは、同じ京の空のもと、脈々と積み重ねられてきた神仏や人々の営みに思いをはせられる。室町時代に京で大成された能・狂言。能では現行曲として伝わる200余りの演目がある。うち70近くは京都が物語の舞台で、ほかにもゆかりの作品は多い。
京都薪能は1950(昭和25)年に始まり、その後、全国各地に薪能が広がった先駆けとなった。平安神宮を会場に、毎年6月初めの風物詩になっている。