空き家税 いよいよ 京都市

 保有していても実際に暮らしていない空き家や別荘などの所有者に課す、京都市の「非居住住宅利活用促進税(空き家税)」創設に総務相が同意した。

 富裕層による投資などで不動産価格が高騰し、子育て世代の市外流出の一因になっている現状を踏まえれば、やむを得まい。空き家の有効活用につなげてほしい。

 市の試算で課税対象は約1万5千戸。大半が空き家とみられ、所有者は固定資産税に加え、その半額程度の空き家税を納めねばならない。年間約9億5千万円の税収を見込み、空き家対策を含むまちづくりの財源にするという。

 課税を避けるための賃貸や売却を促し、課題となっている住宅不足を解消するのが狙いだ。空き家を対象とした税は全国初で、2026年以降に導入される。

 18年に新設した宿泊税に続き、別荘所有者への課税目的で検討が始まった。議論を重ねるうちに主眼は、空き家の流通促進や管理不全の防止に変容。課税は当初想定した富裕層にとどまらず、幅広い層に及びそうだ。

 希望の価格で処分できないといった事情で空き家を抱えている所有者もいる。評価額が低い家屋や保全が必要な京町家などは非課税とする方針とはいえ、公平性や透明性をいかに担保するのか。多くが納得できる運用を求めたい。

 総務省の調査で、京都市の人口減少数が20、21年と2年連続で全国1位になった。市は空き家活用や高さ規制の見直しで歯止めをかけようと躍起だが、子育て世代が暮らしにくい住宅環境では定住・移住者を増やすのは難しい。

 空き家を放置させず、居住を促すという新税導入の意図をきちんとアピールするとともに、若年層向けの思い切った居住支援策など総合的な施策が不可欠だ。

 京都市と同様に空き家や人口流出に悩む自治体は多い。全国的に注目される先駆的な取り組みであり、実効性が問われよう。

 全国の空き家は18年時点で849万戸と、20年間で1・5倍に膨らんだ。解決は一朝一夕には難しいものの、先送りできない。

 政府も増加抑制策を盛り込んだ特別措置法改正案を今国会に提出した。放置すれば倒壊の恐れがある「管理不全空き家」を固定資産税の軽減対象から外すのが柱だ。

 事実上の増税となり、反発もあろうが、空き家を住める状態のうちにいかに有効活用を進めるかが鍵となる。こちらも丁寧な周知と説明が欠かせない。

関連記事

京都市の空き家対策は

京都市は2007年に新景観政策を導入し、都心部を中心に高さ規制を行いました。この厳しい規制により、住宅の供給量が減少し、地価が高騰しました。その結果、……

詳細を見る

京都の銭湯守ってほしい

京都市内にある老舗銭湯「鴨川湯」が昨年秋に閉鎖されていましたが、若い2人が中心となり、7月29日に再オープンします。改修工事を行いつつも、昔ながらの風……

詳細を見る