5月に京都府宇治市にある天ケ瀬ダムの下流岸で、トンネル式放流設備からの放流による道路崩落などの事故が発生しました。このダムは宇治川の治水に重要な役割を果たしており、流域住民の安全にも関わっています。
この事故を受け、国土交通省は早急に運用方法を改めることを決定しました。トンネル式放流設備は約9年の歳月と660億円の費用をかけて完成したもので、下流への洪水調節能力を増強し、上流の浸水被害を軽減することが主な目的でした。しかし、大雨の際に放流を行った結果、予想外の事態が発生しました。
調査委員会によると、ダム本体の洪水用ゲートを使っていれば、トンネル式放流設備からの水が下流に押し流され、事故が緩和された可能性が示唆されました。過去には放流に関する明確なマニュアルがなく、現場のダム管理者の判断で放流が行われていたとのことです。
今後は、ダム本体からの放流を先行させる運用方法や右岸の護岸や擁壁の強化工事が行われる予定です。また、学識者によるモニタリング調査や情報公開の徹底など、さまざまな対策が必要とされています。流域住民の安全を守るためにも、想定外の事故を未然に防ぐための努力が重要とされています。